近年、様々な分野で急速に進むデジタル化の影響を受け、多くの企業が自社のビジネスモデルや業務プロセスを変革しようとしています。
そのような中で、注目を集めているのが「リスキリング」です。
本記事では、リスキリングとは何か、なぜ注目されているのか、実施する上でのポイントや注意点を交えて解説します。
リスキリングとは？
「リスキリング」とは、「リスキル（Reskill）」と「アップスキル（Upskill）」の略語です。
Reskillは「新しいスキルを習得すること」、Upskillは「既存のスキルを向上させること」を意味します。
リスキリングは、社員が持つスキルや知識を、新しい業務や役割に必要なスキルや知識に変えることを指します。
つまり、企業が自社のビジネス環境に合わせて、社員が必要なスキルを身につけることを目的としています。
リスキリングが話題になっている理由
リスキリングが注目されている理由は、主に以下の2つが挙げられます。
1. デジタル技術の急速な進化
現在、ビジネスの現場においては、AIやロボット技術など、多様なデジタル技術が導入されています。
これらの技術によって、ビジネス環境は急速に変化しており、それに合わせて社員が必要とするスキルや知識も変化しています。
例えば、顧客とのコミュニケーションを担当する営業職でも、AIによる自動応答システムの導入によって、顧客対応が変化しています。
こうした環境変化に追いつくためには、社員が常に新しいスキルや知識を習得する必要があります。
2. 人材不足の解消
リスキリングが注目されるもう1つの理由は、人材不足の解消にあります。
現在、多くの企業が求める人材像は、単に専門知識を持っているだけではなく、柔軟性やアウトプット力、コミュニケーション能力など、様々なスキルを兼ね備えた人材です。
しかしながら、これらの人材は市場には限られており、そのため多くの企業が人材不足に悩まされています。
こうした状況下で、リスキリングによって社員に必要なスキルを身につけさせることで、企業内での人材の流動性を高め、業務を効率的にこなすことができるようになります。
リスキリングとリカレントとの違いとは？
「リスキリング」と「リカレント（Recurrent）」は、共に社員のスキルアップを促す手段ですが、異なる点があります。
リカレントは、社員が長期間同じ業務を担当し、その業務に必要なスキルを向上させることを目的としています。
つまり、既存の業務に対するスキルの向上が中心となっています。
一方で、リスキリングは、新しい業務に必要なスキルや知識を身につけることを目的としています。
つまり、既存の業務とは異なる業務を担当する際に必要なスキルアップが中心となっています。
社内でリスキリングが推奨されている理由
リスキリングが注目されるようになっている理由の一つに、社内でリスキリングが推奨されることで、社員のモチベーションアップや組織の生産性向上につながるという点が挙げられます。
社員にとって、自分のスキルアップができるということは、自己成長の機会を得られることであり、仕事に対するモチベーションを高めることができます。
また、新しいスキルや知識を身につけることで、自分自身の市場価値を高めることができるため、将来的には自己実現の機会を得られる可能性もあります。
一方、組織にとっても、社員が持つスキルや知識を拡充することで、新しいビジネスに対応することができるようになり、組織の生産性向上につながることが期待できます。
また、社員のスキルアップによって、従業員の定着率も高まり、離職率の低下にもつながるとされています。
さらに、リスキリングは、外部からの人材採用に比べてコストが低いという利点もあります。
新たに採用する場合には、採用手数料や人材育成費用などがかかりますが、既存の社員に対してリスキリングを行う場合には、これらの費用が抑えられるため、コストパフォーマンスが高いと言えます。
まとめ
リスキリングは、技術革新やビジネス環境の変化に対応するために、社員のスキルアップを図る取り組みです。
リスキリングを推進することで、社員のスキルアップや生産性の向上、新たなビジネスモデルの構築など、企業の成長につながります。
リスキリングを実施する際には、以下のポイントや注意点を意識することが求められます。
- 目的や成果を明確にすること
- 個人の適性や目的に合わせたプログラムを用意すること
- モチベーションを維持するために、定期的なフィードバックを行うこと
- 社員にリスキリングの重要性を認識させること
今後も、技術革新やビジネス環境の変化に対応し、企業の成長に必要なスキルを持った社員を育成するために、リスキリングは重要な取り組みとなっていくことでしょう。
